多くの牛と豚の尊い命が亡くなりました・・・多くの人間が心を痛めました・・・しかし宮崎は再び歩き始めます

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(軌跡10)宮崎子牛育成日記

生産検査
【生産検査】
子牛セリ市に出場する子牛は全頭、生産検査という審査を受けなければいけません。生産検査は、子牛の毛のはえ方など、体の特徴を一つずつチェックし、発育具合や健康状態を調べるものです。主にJAの指導員と同行する獣医師によって一頭ずつ審査されていきます。特にJAの指導員は、牛の体をくまなく観察し、雄の子牛であれば適切な時期に去勢手術されていたかとか、手入れは行き届いたかとか様々なことを検査するのです。
この生産検査の結果は、子牛セリ市のときに公表され、必要なものはセリ市の際、名簿に明記されます。子牛に不具合があった場合、一見すると繁殖農家にとって不利益のようにも見えますが、セリ市場の責任として、不具合なことも公開することで安心して購買者の方に買ってもらうことができるのです。購買者の方が安心して買うことのできるセリ市場は、結果的に繁殖農家にとって出品しやすいセリ市場になるというわけです。
そして、子牛の時期では最後となる予防注射が、生産検査の際に接種されます。牛が脳脊髄炎にならないようにするための注射です。これでおおかたの痛い試練は終了です。

3順番
【せりの順番待ち】
平成二十四年三月、子牛セリ市の朝を迎えました。口蹄疫のワクチン接種により全ての家畜を失ってから長い道のりでした。
子牛セリ市の朝四時、農家は餌やりを始めています。牛は餌を食べたあとに必ず水を飲むので、朝ごはんをしっかり食べさせて水を飲んだら、セリ市に向かう最後の準備にとりかかります。
お湯で湿らせたタオルで体を拭きあげて真新しい頭絡に付け替えて、トラックに乗って出発です。
セリ場に着くとすぐに体重測定を行います。この体重は牛の体に付けられた札にも書かれますが、セリが始まると、日齢と体重が電光掲示板に表示され、牛が競られるときの重要な情報になります。

4待機場
【せり場待機場】
一日に競られる子牛の数は数百頭にもなります。子牛セリ市には宮崎県内外から子牛を購買に来られます。購買者の方々は、少しでも良い子牛を手に入れるために、待機場に一列に並んでいる子牛を、名簿を見ながら全て見てまわります。名簿には、子牛の母親の素質、種雄牛名や祖父、祖祖父の名前まで表示されています。近くで子牛を見ることによって、購買者の方は、どの牛を買いたいか決めていくのです。


8熱気1.1頭ずつ
【熱気あるせり場】【一頭ずつ競られる牛】

7耳評
【耳標装着】
いよいよセリ市が開始されました。購買者の方は、手元にボタンを持っていて自分の買いたい子牛が出品されると、ボタンを押します。すると電光掲示板の金額が1,000円単位で小刻みに上昇していき、一番高値を付けた購買者に競り落とされるわけです。

5直後
【せり直後の牛】
子牛の生産農家にはやっと得られた収入となりました。口蹄疫前のような安定的な収入になるには、あと一年ほどの年月が必要と考えられます。収入面で、やっと口蹄疫からの復興がはじまったといえるでしょう。

9肥育
【肥育される牛】
子牛セリ市で購入された子牛は、宮崎県内はもとより全国各地へ旅立っていきます。メス子牛の多くは子牛を生産するお母さん牛として、繁殖農家で飼育されていきます。オスの子牛は食肉にするため、肥育農家で飼育されます。
 肥育農家では、購入した子牛を2頭から数頭ずつの群れに分けて管理していきます。中には長距離をトラックで移動する子牛もおり、導入直後はお腹をこわしたりカゼをひいてしまったり、体調を崩しやすいものです。生まれた家を出て、違う環境で暮らすと人間も体調を崩しやすくなるのに似ていますね。
 牛たちはとうもろこしや大豆などを多く含む肥育用の飼料や乾草を給与されて肥育されていきます。おいしいものを食べて運動しないでいると人間でも太るものです。さらに日本の種雄牛では太りやすいように品種改良されていますので、遺伝的にも太りやすくなっていますから、なおさらです。導入直後は300Kg程度であった体重が、約30ヶ月齢の肥育牛では約3倍の900Kg程度まで大きくなります。導入直後は広く感じられた牛舎も、肥育出荷される前には狭く感じられます。
今回の口蹄疫では多くの肥育用牛も失われました。長い肥育期間を必要とする肥育飼育でも、繁殖農家と同様に再開しても、畜産からの収入のない2年間が続いていました。もっとも早く導入を始めた農家で、この春先から肥育牛の出荷が始まりました。肥育農家においても繁殖農家と同様に収入面での復興がやっと始まったばかりなのです。

2スーパー
【スーパーの陳列棚】
畜産農家で肥育された牛たちは、食肉センターへと出荷されていきます。食肉センターには、多くの獣医師が居て、牛や豚や鶏が健康であったか、人間が食したときに問題となる病気を持っていなかったか、などを詳細に検査します。
この検査は1頭ずつ念入りにされるもので、牛が食肉に変わっていく第一段階であり、人間の健康を守るためにとても重要な仕事です。牛は皮や内臓などをはずされて枝肉となります。

6宮崎牛
【宮崎牛】
 宮崎県内で生産肥育された黒毛和種牛のうち、霜降りの度合い(脂肪交雑)、肉や脂肪の色、肉のきめやしまりなどの肉質等級がよかったものだけが、全国的にも有名な【宮崎牛】となれるのです。スーパーで宮崎牛という黒いシールが貼ってある場合、一定レベル以上の肉ですよ、ということを意味しているわけです。
 その後、2~5℃という冷温状態で枝肉のまま貯蔵されます。食肉をやわらかく食するために重要な時間で、牛では最低でも7~10日、豚では3~5日、鶏では半日程度必要です。牛ではさらに熟成させる場合が多く、実は畜産農家を出発してから、食肉となって生まれ変わって帰ってくるまでに2週間以上の時間が経っていることになります。
 畜産とは、他の農業と同じように命を育てる産業です。生き物や自然を相手にする産業であるから、人間の力が及ばないこともあります。また、最終的には命を絶ち人間が食することになります。それでも畜産農家の皆さんは、生きている間は、できる限り幸せであるようにと、命と向き合っています。
 農畜産物を食すること、それは【命をいただくこと】で、感謝の気持ちなくしてはできないことなのです。
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